清明の詩

四月五日…

中国ではこの日を「清明節」と名づけられています。

清明」を口にすると、杜牧の『清明』が脳裏に浮かんでくるでしょう。

曰く:

清明時節雨紛紛 清明の時節は雨紛紛

路上行人欲断魂 路上の行人魂を断たんと欲す

借問酒家何処有 借問す酒家は何処に有りやと

牧童遥指杏花村 牧童遥かに指さす杏花村


またある者は、この詩を芝居の一部に改編したといいます。

  清明の時節。雨紛々。路上。

  行人:(魂を断たんと欲して)「借問す、酒家はいずれの処にかある?」

  牧童:(遥かに指さして)「杏花村」

この詩については、簡単に以下のように説明したいと思います。

一、時は清明清明になると、家ごとに墓参りをするのは既に風俗となっています。

  しかし、詩人は遠い異郷にいます。国に帰られない自分が情けなくて、

  ついお酒を飲みたくなったわけです。

二、詩の前二句は断腸の思いばかりですが、牧童が遠くにある酒屋を指差すとともに

 詩人もそそられ、いつの間にか、憂鬱なる気持ちを一転して、興味津々にその有名な

「杏花村」にむかっていったろう。


                            呂芸観 清明試作